こんにちは、往診専門どうぶつ病院ローズローズアニマルクリニック、院長の藤井です。
もうすぐ49日を迎えるクロちゃんは、美人でとってもかしこい日本猫でした。
最初言われていた年齢がけっこうずれていたようで、ある日レントゲンを撮ったら骨の様子などから大幅修正がされて、推定17,8歳のきれいなおばあちゃんでした。
ずっと元気に過ごしていましたが、数年前から腎臓の機能が低下し、免疫力の低下から鼻や口のなかの炎症がおこり、ごはんがうまく食べられないことがたびたび起こるようになりました。
また、眼がぐるぐる回ってしまったり、行動もおかしい様子がある神経症状もみられたのですが、何しろ絶対!薬を拒否するクロちゃんなのです。
飼い主さんもいろいろ工夫をされましたが、継続型の注射と点滴を中心とした治療が一番クロちゃんが調子がよかったので、毎週往診にうかがいました。
クロちゃんの好きだったものたち。
猫ちゃんはかなりグルメで警戒心も強く、ごはんにこだわりが強いことが多いので
- 舌触り(ゼリー状のものが好きなこが多い)
- 脂分(多めのほうを好みます)
- 食感(なるべく細かく裂かれたもの、小粒のもののほうが警戒しないですね)
を気を付けてあげることをおすすめします。
寒くなるにつれ、だんだんクロちゃんは弱っていき、最期はハーゲンダッツのアイスクリームをなめながら、ご家族の見守る中静かに天国へ登っていきました。
翌日うかがうと、クロちゃんは本当に穏やかな表情で、毎日きれいにしてもらい、お骨になるのを静かに待っていました。
今はもう成人されたお嬢さんたちが小さいころ、徐々に距離を縮めていつの間にかお家の中心となった外猫だったクロちゃんの話を、ちょっと涙しながらもたくさんお話しでき、獣医師としてとても幸せな時間を過ごさせていただきました。
積極的な治療はもちろんたくさん選択肢がありました、でもクロちゃんとご家族にとって、一番おだやかなのぞまれた治療はこの形だったと信じています。
治療はひとつではありません、さまざまな選択肢の中から一生懸命考え悩み、選ぶことはそれだけで飼い主さんとしての役目を十分に果たされているのではないかと思います。
ご説明や補足はいくらでも致します、どうぞだれかに決めてもらうのではなく、ペットちゃんのために飼い主さんたちが選んであげてくださいね。