こんにちは、往診専門ローズローズアニマルクリニックの藤井です。
当院はごくごく普通の動物病院ですが、往診を行うため色々と事情があって通院の難しいペットを多く診ています。
治療計画をお話しするとき飼い主さんが気にされることのひとつに
があります。
選択肢は、大きく次の4つです。
- 何もしない
- 皮下点滴をする
- 体につけた管から栄養を与える
- 静脈栄養を行う
何もしない
ほっとくのとはもちろん違います。特別な処置はせずに、ペットを見守るということです。
もしジュースは飲めるとか、アイスクリームは食べられるというときは、口にできるものをあげてかまいません。
おやつも水分も何もとれないという段階になったら、無理に与える必要はありません。飲まず食わずでは、喉が渇いたりしてかわいそうと思われるかもしれませんが、体が受け付けなくなっている動物はそれを苦痛を感じることはないのです。終末期のペットは、少しずつ天国にいく準備をしているのでこれがいちばん自然で無理のないケアになります。
皮下点滴をする
これは皮膚と筋肉の間の皮下に点滴で水分を入れるという方法です。
認知症や病気のペットはごはんを食べたり食べなかったりすることがありますが、低栄養や脱水の危険があるときにこの点滴を行うことがあります。点滴で水分を補って食欲を戻し、また食べられるようになることを目的としています。
また食事を受け付けなくなったペットに何もしないでいるのはみていて辛い、という飼い主さんの希望で点滴を行うこともあります。
点滴はほぼ水分でありカロリーはほぼありません、しかし何もしない場合に比べれば、生きられる期間は少し延びます。
とはいえ点滴の量ややり方が合っていないと、むくみが出たり肺に水がたまったりなどして、かえって苦しい思いをさせることがあります。たくさん行えばいいというわけではありません。
経管栄養
ペットに生きる気力はあるが、口から栄養摂取ができない場合です。
具体的には鼻につけたチューブから栄養を入れる「経鼻チューブカテーテル」や食道や胃に開けた孔から栄養を入れる「食道チューブ」「胃ろうチューブ」のことです。
口の中の痛みが強い癌や炎症、飲み込むことが難しい消化器疾患ではペットには食べたい気持ちや生きる気力はあるので、これを行うことで毎日が快適になるのです。
チューブを入れることは死にゆくペットを無理に生かす延命治療というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、手術後や抗ガン剤治療後など一時的に食事がとれなくなったような場合、チューブで栄養を与えると、回復し元気になったり、再び口から食事をとれるようになることもあります。
鼻から栄養を入れる経鼻チューブは局所麻酔で入れることが可能です。食道や胃ろうチューブは全身麻酔が必須です。
静脈点滴、中心静脈栄養
これは血管に直接維持輸液や特別に配合した高カロリー輸液を入れる方法です。胃や腸などの消化管を使わずに血管に栄養を入れるので、効率よく長期間命をつなぐことができる方法です。
普通の静脈輸液は飼い主さんや看護師さんに保定してもらってルートを設置しますが、中心静脈輸液は太い血管に直接ルートを作るので、設置には基本全身麻酔が必要であり、また管理も慎重に行うため入院下で行われます。
とくに中心静脈輸液はご自宅では管理が難しく、2次施設や大学病院で重症のペットの回復期に行われます。自分も消化器栄養科にいた時に何度か行いましたが、衛生環境やペットの物理的な刺激からカテーテルを守るためにとても神経を使いました。
選ぶのは飼い主さん
残念ながらペットは自分自身の意見を口にできないので、飼い主さんが決めてあげなくてはいけません。
みなさん本当に迷われ、悩みます。
答えはありません、しかし側でみていて思うのは、こんなにも自分自身のことを考えて決断してくれるのであれば、もはやそれだけで幸せ、なんの不服もないとペットも感じているのではないのかなあということだったりします。

でっかい猫(笑)のクーちゃん。嫌でも怖くても、一生懸命ガマンしてくれる健気な姿にいつもキュンキュンしてしまいます。
この日は緊張がとけたらどっと疲れたのか、テーブルの上でリラックスしてました。